それでも、涼しげな顔のままスサノオはさらにハルカを抱き寄せると必死で逃れようとしているハルカの顔を自分の顔に近づけ、その唇を奪った。

自分の心が黒く染まるのがわかった。

それこそ、相手の思う壺。

だけど、止められなかった。

スサノオとハルカが密着しているという事実すら忘れたように、剣を振りかざしスサノオに切りかかった。

――バチン!

振り下ろした瞬間、強い力で跳ね返され大きく後退する。

「小僧、お前はこの娘ごとオレを叩き切るつもりだったのか?」

どこか呆れたような馬鹿にしたようなそんな声が聞こえる。

だが、その言葉で急激に頭に上っていた血が下がっていくのを感じた。

それまで、確かに見ていたと思っていた景色が一枚ヴェールが剥がれるようにクリアに入ってくる。

スサノオの腕の中でぐったりとしているハルカを見て戦慄が走った。