「私もいつまでもこちらにいるわけにはいきません。いずれは夜の世界に戻ります。彼らを完全にこちらの世界に来なくさせるには、やはりこちら側からの結界が必要になります」

「そうなのか?」

「ええ」

そこでツクヨミは瞳を閉じると膝の上に置いた両手を上に向けて、精神を集中させるように深い息を吐いた。

侵しがたいその雰囲気に思わず息を飲む。

それほど長い時を置かずして、ゆっくりと目を開けると穏やかな笑みを浮かべた。

「結界を施すためには、この地の気が一番満ちるときがよろしいでしょう。それは、まだ先になりますのでそれまでは、私が一時的な結界の役割をさせていただきましょう」

「そうですか。それは助かります」

父さんの言葉で我に返ると、俺も同意を示すために頷いた。

ツクヨミが、妖たちを抑えていてくれるならもう何の心配もない。

後は、ハルカを迎えに行くだけだ。

「ツクヨミ」