苦しい言い訳だとは思ったが、そんな言葉を吐くと、案の定、スサノオはもう笑いを堪えるのが耐え切れなくなったのか、一頻り大笑いすると私の強がりを簡単に挫く言葉を放った。

「そうかそうか。だったら、そっちじゃなく、ほれあっちの角を曲がればそこがお主に与えた部屋だぞ」

穴があったら入りたいってこういう時に使うのかも。

自分の顔が火照って熱くなっているのを感じつつ、何とも思ってない様を装ってスサノオの横を通り過ぎる。

角を曲がってみたら、口を開けた扉から見覚えのある部屋の内部が目に入ってきた。

部屋の中に入ると、知らず知らずのうちにため息が口から出ていた。

「どうしたの？」

急に背後から聞こえてきた声に、慌てて振り返れば、不思議そうに首をかしげているカグヤさんがいた。

「あの、えーっと、何でもないです……」

説明のしようもないことなので、とりあえずそう言うと、カグヤさんは特に気にした風でもなく、前回同様ワゴンを押しながら部屋の中に入ってきた。