ピチャン――

顔に冷たい雫が等間隔で零れてくる。

朦朧とする頭がその雫のせいか、次第にはっきりとしてきた。

「ちょっと! 話が違うじゃない!」

誰かが叫ぶような声が聞こえる。

その声は、なぜか反響しているようで声の出所も誰の声かもはっきりしない。

ゆっくりと瞼を開けてみれば、目に飛び込んでくるのはゴツゴツとした岩ばかり。

その岩が、複数の蝋燭の灯りに照らされて、ゆらりゆらりと何かの生き物が蠢いているように感じられて、気持ちが悪かった。

寝かされている体の下の不規則な凹凸が、急に気になりだし体が痛くなってくる。

体勢を変えようと思うのだけど、何故だか思うように動かない。

どうにか顔だけを動かして横を向くと、鉄格子のようなものが見え、その向こうに紗綾さんと見たこともない人物がにらみ合っているのが目に入った。

その人物は、真人君のように浅黒い肌に銀色の髪と灰色の瞳を持っていた。