「あれ?」

ホムラの不思議そうな声が聞こえた。

「どうやら、無駄な工程を省いてくれたみたいだな」

冷静なリュウの分析に「さすがトヨだなー」などと言いながらホムラが感心している。

私はそっと山を仰ぎ見た。ほんの短い時間だったけど、私は確かにまた彼らに会えたんだ。

本当は、もっともっと色々聞きたいことがあったけど、それは私が首を突っ込むことではないのだろう。彼らには彼らの生活があったんだから。

「ハルカ、行くぞ」

「うん」

もう一度だけ山に一瞥くれると、もう振り向くことなくその場を後にした。