無駄なことは何も言わないところがリュウらしいといえばリュウらしい。

ようやく携帯を耳に当てることが出来た私は、心の準備が出来ておらずとんちんかんなことを口走っていた。

「リュ、リュウ。元気?」

『……元気だけど?』

一瞬の間はあったけど、リュウが私に合わせてくれた。

その声にも冷たい響きはなくて、むしろ柔らかい感じがした。

普段のリュウから考えられないことで、私はその声だけで顔を赤らめていた。

『ハルカ、どうした?』

さっきと同じ台詞なのに、一段と優しさを増した声に私は別のドキドキを感じる。

そういえば、こんな耳元でこんなに優しいリュウの声を聞いたの初めてかも。

その妙に色っぽい声に私の頭はボーっとなりそうになったが、大きく頭を振ってどうにか当初の目的を果たそうと大きく息を吸い込んだ。