フェイク

これ以上は何を言っても言い訳にしかなりそうにない。


私は財布からコーヒーの代金を出してテーブルに置き、席を立った。



ありがとう、嬉しかった、楽しかった

……大好きでした。



ごめんなさい。



「さようなら」


込み上げてくるいろんな思いを1つにまとめて、それだけを告げた。



翼さんは座ったまま、何も言わずに私に向かって軽く頭を下げた。


そこに集約された、形にならないいろんな感情を、私は読み取った。