「これ」

そうして出してきたものに驚いた。
あの男が……自分の過去を、形として残しているなんて思ってなかったからだ。

「写真……これ、いつのやつ……?」

「二年前じゃないかな」

初めて見る彼の素顔。
あの仮面のように目は大きく、まるでフランス人形。
男ながらに美しい。
赤い唇を祝福するように桜が舞っている。
その右に、今より少し幼くメガネもかけていないなおが笑顔で写っていた。
そして左には――

「これ、誰?」

髪が長く、綺麗というよりも可愛い感じの女性が無愛想に写っている。
笑えば美しいかもしれない。

「それ、ゆう兄の彼女」

耳を疑った。