「んーっと、あのですね」 なにか言おうと思うけど気の利いた言葉が全く出てこない。 「早く行かないと席取られるから。 俺、ヒロコのも頼んでくる。 なに注文する?」 は? あれ? その話? さっきの私のことは何でも知ってる、 云々ってやつは? ………。 あー…。 …うん、まあ、そうだよね。 アタシにとってはびっくりするくらいに、 赤面するようなセリフでも中村くんにとっては そう、大して取るに足らないことなんだ。 「親子丼…」 私はため息と一緒に答えた。