海外って、護身用に一般人も拳銃を持ってるっていうよね。



だからいつ加害者になるのかわからない…。



まさか事件が起きた!?



って、拳銃の音は聞こえてないよね。



だとしたら…。



玄関の外にマフィアがいて、銃撃戦が始まった?って、まだそんな音は聞こえてないってば!



あたし、海外ドラマの見過ぎ。



急いでリビングに行くと、お母さんは呑気に誰かと電話していた。



「あらそう、わかったわ。仕方ないわね…」



「お母さんっ、部屋の外で人の叫び声が聞こえたよね」



「え、なんのこと?聞こえなかったわよ」



あたしのいた部屋は玄関に近いからね。



怖いけど、玄関を覗いてみよう…。



恐る恐る近づくと、突然玄関のドアが蹴破られた。



「きゃあああああぁーっ!!」



もう、叫ぶことしかできない。



「たっ、助けてくれー!」



家の中に飛び込んできたのは、お父さんだった。



「しっ、しっかり。お父さん!こっちへ逃げて」



地面を四つん這いになり這いつくばるお父さんの手を引き、なんとか立ち上がらせる。



マッ、マフィアが来るーっ!



ビビりまくっていると、そこに現れたのは和製の猛獣…あたしのよく知っている顔だった。



ええっ…?



一瞬、目を疑った。



だって、ここにいるはずのない人物が、目の前にいるから。



「どうして…」