1時間目が終わった頃教室に戻ると、中には誰もいなかった。



そうだ…1時間目は、体育だっけ。



天音ちゃん、着替え間に合ったのかな。



自分の席に着き次の授業の準備をしていると、クラスのみんなが戻ってきた。













「あ~、疲れました。葵ちゃん、サボって正解です。トラック3周なんて、わたくしにはムリですわ」



体育から戻ってきた天音ちゃんが、あたしの前でふにゃふにゃと崩れる。



「天音ちゃん~、大丈夫?ジュース持ってるから、飲む?」



あたしはカバンの中からジュースを取りだそうとした。



そのとき、教室の後ろから誰かが叫ぶ声がした。



「ないっ、あたしの時計がない」



「今朝、見せてくれたブランドの新作よね!?どこかに落としたんじゃないの?」



「違うわ!体育で汚れたら嫌だから、机の上に置いて行ったのに…」



「机の上に置くからよ。誰かが盗ったんじゃない?」



「そんな…この学園にそんなことをする人が?」



騒ぎはだんだん大きくなっていって、遂には先生まで登場。



「みんな、落ち着いて。この学園で窃盗事件がおきたのは初めてだ。まさかこんなことがおきるなんて…」