ハンドパワー



そして渡辺さん家に戻った。

勇人を置いて。


「ただいま」

「お帰り。

あれ? 勇人くんは?」

「・・・・置いていった」

「いいのか?」

「うん」


家に着くと、春に迎えられた。

「貴雄さん、帰ったよ」

「そう」


あの人に家があったのか。
少し驚きだよ。

「俺たちも帰るか」

「うん」

そして私は帰る用意をした。


「渡辺さん。
今まで本当に迷惑をかけました。

私のために渡辺さんは、色々と尽くしてくださったみたいなのに、なにもお礼ができずに…

これからも辛いことがあるかも知れないけど、できるだけ周りの人に迷惑をかけずに生きていこうと思います