ハンドパワー


「ゴメンね、いきなり観覧車って…」


「いいよ〜」

私は突然観覧車に乗ったことを、謝った。


だって普通観覧車なんて、乗りたいと思わないでしょ。


「さっきさ、あの子見て思い出したんだ」


そして、数時間前に起きた出来事を、蘭に話し始める。


「あの子って―  さっきの?」


「うん。   あの時も私、あの子のように泣いてた。

まぁあの時って言っても、いつかわからないけどね」


「そうなんだ…」

私の置かれている状況に、小さくうなずくことしかできない蘭だった。


「私さ早く記憶を取り戻したい」



「それは友達になったときから知ってる」