ハンドパワー


親が死んでしまうという危機を察した。

「お母さん!! お父さん!!」

どこにいるのかわからず、あてもなく探した。


「こっちにおいで!!
君のお父さんとお母さんは必ず助けるから」

私は消防士の言葉を瞬時に信じた。

だって子どもの自分に為す術はないと、確信したから。

家を抜け出すと、人だかりができていた。

燃え盛る家を見ていた。


その野次馬の中に…

さっきいたお兄さんが…

しかもその人は…
ずっと笑っている。


しかし今はそんなことどうでもいい。