ハンドパワー


―家―

「ただいま」

「お帰り。珍しいな。
帰って、自分から挨拶するなんて」


ハル…

あ。どうして北郷勇人を私の部屋に入れたんだろう。

「どうして?
何で北郷勇人を私の部屋に入れたの?」


「だってその子が温秘の友達ですって、言ってたから。

別にいいだろ?」

「友達って言っても、相手は男だよ?
普通入れないでしょ?」


「でも温秘の友達が来て、嬉しくて…
悪かった?」

「悪いに決まってるでしょ!?
あの人、私の敵なんだよ!?

あいつがやって来て、私のプライドをズタズタにされてるんだよ!?

一時は生きる希望を無くしたときだってあったのに…」