お母さん,お母さんって呼びながら。 その泣き声を無視することができなかった。 「私、ちょっと行ってくる」 「え? ちょっと…」 蘭が止めに入ろうとするが、私は人混みを掻き分けながら倉庫へ向かう。 「すいません、ちょっと通してください」 すると係員に止められた。 「今カギを探していますから」 「少し時間を下さい」 そして私は 右手を少し上に上げ、左手の人差し指で手を縁取った。 そして力を込めた。