ハンドパワー


「今日は誰もいねぇから、心配すんな」

あんたがいるじゃんかよ。

はぁ…

やだよ。


「座れよ」

と彼は言って、この前みたいに着替え始めた。

私は怯えている。

これから何が始まるのか、怖くてしょうがない。


「お前さ、もう逃げたのかよ」

着替え終わると、北郷勇人はそう言った。

「逃げたんじゃないよ!
あんたが言ったんじゃない!

消えろって。
だからできるだけ、あんたの視界から…」


「なに真に受けてんだよ
そんな消え方されても面白くねぇんだよ」

私が話しているのにも関わらず、片手で頬をつまんで言葉を塞いだ。

「離して!!

離してよ…


せっかく必死に生きてるって言うのに!

私は過去の自分と闘いながらさ…」