ハンドパワー


「温秘、何でお父さんとお母さんを押したの?」

お母さんに理由を聞かれた。

「知らないお兄さんに突然、お母さんたちを指差しながら

『あの人。君のお母さんとお父さんだよね?』

って聞かれて、そうだよって答えたら

いきなり押されて、よろよろしてお母さんたちにぶつかって…」


「何でそんな嘘をつくんだ!!」


突然お父さんが声を荒げた。

普段私はお父さんに怒られることはなかったから、とても怖かった。

「そうだよ、温秘。
ちゃんと正直に話して」