ハンドパワー


「あ、あのさ…

何で温秘ちゃんの両親は、プールに落とされた後、自分の足で元に戻れなかったの?」


「私も不思議に思ったんだ。
ちょっと痛かったかもしれないけど、下手したら命に関わるっていうのにさ…
何で顔を上げることもしなかったのかなって」


「うん」

「今までわからなかった。
その原因が。

でも新くんがさっき、診察されてたときにふっ、と思い出したんだ。
プールの監視員が両親に言ったんだよ。


『息を限界まで止めておいてください』

みたいなことを」