ハンドパワー


「どうした〜?温秘。 ご飯食うぞ〜」


晩御飯の時間帯となり、なかなか居間に行かない私を心配し、私に声をかけてくれた合田さん。


「あ…うん」


私は本当に記憶が戻るのかなぁ?
ふと思った。


居間に行き食事の前に座った。


「ねぇ合田さん」

「ん?」


私は思いきって訊いてみた。


「私は…本当に記憶を戻すことができるの?」

「できるよ」

私にとって重みのある質問を、合田さんは軽々しく回答した。


「だったら何で… 10年経っても少ししか思い出せないの?」


あまりの軽さに、思わず少しだけ強く言ってしまった。


「温秘が思い出すのを、怖がってるだけじゃないの?」

「え?」