大道具の子たちがたくさんタオルを貸してくれて、一応ほとんどシミは消えたのだけれど。洗うときに豪快に濡らしてしまったせいで、スカートはびしょびしょで、しばらく穿けない状態になった。
なので仕方なく着替えた。ネイビーブルーの、学校指定のジャージ。上だけ制服なのもぶさいくなので、上下とも着替えた。
ありえない。恥ずかしい。みんな制服のなか、わたしだけがジャージ。これはなにかの罰ゲームでしょうか。
本城くんも見ているかな。見ているよね。そこにいるんだから、嫌でも視界に入るでしょう。
どう思われているだろう。恥ずかしいやつだとか思われていたら、ジャージのままそこの窓から飛び降りられる、わたし。
それでもクラスメートはみんな優しくて、終始わたしのジャージ姿にはなにも突っこまないでいてくれた。いや、もしかしたらみんな本当に気にしていないだけかもしれないけれど。
ただ、ジャージはとても動きやすかった。大道具のわたしにはぴったりだ。そこからは誰よりも仕事ができた気がするし、腰も痛くならなかった。
そんなこんなで、やがて陽が傾き始めて。帰宅時間はおのおの自由ということになっているので、徐々に人が減って、ついには誰もいなくなった教室に、わたしだけが取り残された。
正確には、わたしと、わたしのスカートだけ。
えっちゃんは一緒に残ろうとしてくれたのだけれど、なんだかあまりにも情けなかったので、きょうは気持ちだけ受け取っておいた。



