分かっているつもりだった。本城くんはきっと、ミヨちゃんのことをとても大切にしているんだろうって。

でも、いざこんなふうに言われてしまうと、ちょっときついよ。よりによってこんなタイミングで。最悪だよ、本城くん。


「……安西さん?」

「好き、なの?」

「えっ?」

「本城くんは、……ミヨちゃんのこと、好きなの?」


違うって、言って。お願いだから。嘘でもいいから。

違うよって、笑って。


「……あはは!」

「ええ!っ?」


本城くんは本当に笑った。それもびっくりするくらい、結構な感じで笑い飛ばされてしまった。


「よく言われる、それ。ほんとに。あと『付き合ってるの?』もさんざん言われてきたなー」


言いながら、彼はやっぱり困ったように笑う。開いては一瞬で散ってしまう花火が、その小麦色の頬を優しく照らしていた。


「違うよ。笑い飛ばしてごめん。でもほんとに違うから、美夜は」

「……そう、なの?」

「うーん、なんだろ。幼稚園から一緒だし、たぶん安西さんと霧島の関係と似たようなもんかな」


ちーくんはわたしにとって、幼なじみで、もう家族みたいなもので。だから、とても大切な存在で。

そっか。本城くんもミヨちゃんのこと、こんなふうに思っているのかな。

女の子として好きなわけじゃないのか。なんだ。結構な覚悟を決めていたから、なんだか拍子抜けしてしまった。

……ああ、でも、そっか。よかった。