◇
7月29日は、目が覚めた瞬間からそわそわしっぱなしだった。夕食がなかなかのどを通ってくれなかったくらい。お母さんの手作りハンバーグは大好物のはずなのに、おかしいな。
あしたはいよいよ本城くんの大会。どうしよう、なんだかわたしが緊張してしまうよ。
夕食後はすぐに自室にこもった。どうしてもきょうは家族とバラエティ番組を見る気分にはなれなくて。
ベッドに横になり、クッションをぎゅっと抱きしめる。それから目を閉じてみる。なんだか心臓の音が速いみたいだ。
……ああもう、やっぱり、なにをしていても落ち着かない。
「――わあっ!?」
そのとき、スマホがぶるると震えた。突然のことだったので大げさに驚いてしまったのだけれど、もっと驚いたのは、その画面を見てから。
「……えっ!?」
『本城夏生』
緑のアイコンの隣にはたしかにその名前が表示されていて、一瞬目を疑った。彼のことを考えすぎて、ついには幻覚まで見るようになったんじゃないかって。
ただでさえ速かった心臓がさらに暴れだす。身体中の血液が倍速で流れていくみたい。
『急にごめん。安西さん、いま時間ある?』
送り間違いかと思ったけれど、安西さん、と書いてあるし。わたし宛てで間違っていないのかな。
なんだろう。どうしたんだろう。本城くんからLINEがくるなんて。指先が震えてしまう。
『うん。どうしたの?』
『少し話したいんだけど、いまから会えないかな。』
「え?」
なんだ、夢か、と。結構本気で思った。
だって、本城くんがわたしにこんなことを言ってくれるなんて、そんなのありえないよ。こんなに幸せなこと、あっていいはずがない。
7月29日は、目が覚めた瞬間からそわそわしっぱなしだった。夕食がなかなかのどを通ってくれなかったくらい。お母さんの手作りハンバーグは大好物のはずなのに、おかしいな。
あしたはいよいよ本城くんの大会。どうしよう、なんだかわたしが緊張してしまうよ。
夕食後はすぐに自室にこもった。どうしてもきょうは家族とバラエティ番組を見る気分にはなれなくて。
ベッドに横になり、クッションをぎゅっと抱きしめる。それから目を閉じてみる。なんだか心臓の音が速いみたいだ。
……ああもう、やっぱり、なにをしていても落ち着かない。
「――わあっ!?」
そのとき、スマホがぶるると震えた。突然のことだったので大げさに驚いてしまったのだけれど、もっと驚いたのは、その画面を見てから。
「……えっ!?」
『本城夏生』
緑のアイコンの隣にはたしかにその名前が表示されていて、一瞬目を疑った。彼のことを考えすぎて、ついには幻覚まで見るようになったんじゃないかって。
ただでさえ速かった心臓がさらに暴れだす。身体中の血液が倍速で流れていくみたい。
『急にごめん。安西さん、いま時間ある?』
送り間違いかと思ったけれど、安西さん、と書いてあるし。わたし宛てで間違っていないのかな。
なんだろう。どうしたんだろう。本城くんからLINEがくるなんて。指先が震えてしまう。
『うん。どうしたの?』
『少し話したいんだけど、いまから会えないかな。』
「え?」
なんだ、夢か、と。結構本気で思った。
だって、本城くんがわたしにこんなことを言ってくれるなんて、そんなのありえないよ。こんなに幸せなこと、あっていいはずがない。