わらって、すきっていって。



3時間に及ぶライブは本当に最高だった。そこそこの広さのライブハウスは、始まりから終わりまで、ずっと揺れていたように思う。


ボーカルのアキさんの歌声は、CDやラジオで聴くよりもずっとキラキラしていた。甘いけれど、どこか強さを秘めているような。歌を歌うために生まれてきたひとっているんだなあと思った。

でもわたしは、なんといってもギターの洸介(こうすけ)さんがすごく好き。

音楽には疎いからギターの技術がどうとかは分からないけれど、淡々とギターを弾く彼の姿は本当にかっこいいんだ。正直、顔もものすごくタイプだ。汗をかいていてもかっこよかったもん。

こんなこと本城くんには絶対に知られたくないけれど。死んでも。引かれるに決まっている。


でもやっぱり、いま隣を歩いているひとがきっと世界でいちばんかっこいいよ。少なくとも、わたしにとっては。


「それにしても最高だったなあ」

「ね! あんなに飛び跳ねたの生まれてはじめてだよ、わたし」

「うん、安西さんすげー楽しそうだった。よかった」


そんなことを言われてしまうとなんだかとても恥ずかしいんですが。ぴょんぴょん跳ねながらはしゃいでいたの、見られていたのか。

それでも本城くんは本当にうれしそうに笑ってくれる。だからなにも言えなかった。この笑顔は反則だ。


「……ねえ、でもほんとにいいの? 家まで送ってもらうなんて申し訳ないよ」

「夜遅いんだし、当たり前。安西さんになんかあったら大変だろ」


もしかしてわたしいま、女の子扱いしてもらえているんだろうか。ああどうしよう、こんなに幸せなことがあってもいいのかな。