「そうだ。なに買おうか? タオルとTシャツは買うべきかなあ」
「あ、そうだよね! グッズ買わないと!」
「とりあえずなにかしら装備するとなんかテンション上がるよな」
本城くんはこういう場に慣れているのかな。わたしみたいな完全なる初心者は、彼の言葉にうなずくので精いっぱいだ。
会場に到着すると、入り口はライブグッズの販売所になっていて、それなりに長い列ができていた。
「Tシャツ3色あるみたいだけど、何色にしようか」
「ほんとだ! 全部かわいいね。どうしよう……」
「俺は白か水色にしようかなと思ってる。だって、黒は色黒には絶対NGだろ」
「……え」
看板を眺めながら言う、その横顔は真剣そのもので。やっぱりすごくかっこいいんだけど、いまばかりはどうしてもかわいく思えて仕方がないよ。
「……あはは! 本城くん、気にしすぎだよ!」
「え、俺、結構真剣なのに」
「だってー! 絶対に気にしすぎだもん。わたしは小麦色の肌、すごく素敵だと思うけどな」
「え?」
「え?」
あれ? わたしいま、もしかして。結構ストレートなことを言ってしまいました?
「……あ、いや! いまのはなんて言うか!」
「安西さんってほんとに天使みたいな子だよな」
「ええっ!?」
あなたはいまなんとおっしゃいました!?



