わらって、すきっていって。


そして、彼の形のいいくちびるが開いた。


「せっかく霧島にチケット2枚譲ってもらったんだからさ。今度のライブ、よかったら一緒に行こうよ」

「えええ……!?」

「あ。もちろん安西さんの都合がよければなんだけど」


やぶから棒? 棚からぼたもち?

こういうの、なんていうんだっけ。まさかすぎる展開に完全に思考はストップだ。


「……どう、かな? 俺とじゃやっぱり嫌? 目つき悪いし」

「そんな! わけ! ないです! あと目つきは悪くないっ」

「あはは、突然の大声!」


うそ。どうしよう。どうしたらいいの。まさか本城くんにライブ誘ってもらえるなんて、まるで夢みたい。

断る理由なんて見つからないよ。そんなの地球一周したってきっと見つからない。見つかりっこない。

だから、あれこれ考えてしまう前に首は縦に振った。


「……い、行きたい。です。本城くんと……ライブ行きたい」

「マジ? よっしゃ、決まり」

「あ……よろしくお願いしますっ」

「こちらこそ!」


うれしい。本城くんとライブなんて意味分かんないけれど、そんなのどうでもいいくらい、すごくうれしいよ。

きのうCDを借りてよかったな。それでもって、きょう聴いていてよかった。

チケットをくれたちーくん、ありがとう。神様ありがとう。

そういえばきのうレンタルビデオショップに付き合ってくれたのもちーくんだ。もしかしたら、彼こそがわたしの神様なのかもしれない。