◇
「あー。わけ分かんねー」
ベッドにどさりと倒れると、まるで身体がそのまま吸いこまれていくみたいに感じた。
あんこはあれ以上なにも言わなかった。
ちーくん、本城くんを好きだってこと、黙っててごめんね、と。涙で濡れた顔をぎこちなく笑顔に変えて、そう言っただけだった。
いや、まあ、本城を好きなのは勝手に知っていたし、それはいいんだけど。
でもやっぱり、全然、分かんねえよ。
てっきり本城もあんこを好きだと思っていたのに。
それともそれはオレの思い違いで、実は、好きじゃなかったのかなあ。でも、あの荻野も両想いだろうって言っていたしな。
自慢じゃないが、ガキのころからあんこ以外の女に興味が持てなかったオレは、恋愛経験なんかゼロに等しいわけで。
恋の駆け引きとか、そういう恋愛においての深い事情、まったく分かんねえし。情けねーけど。
好きなら付き合うでいいじゃねえかよ。
いや、それとも。もしかして、なんか、あんのかな。
なんか。本城があんこを振らなければいけなかった、決定的な理由が。
「――千尋ぉ。バイオハザードやろうぜ、千尋、なあ千尋」
突然ドアが開いた。次の瞬間、ぬっと顔をだしたまぬけ顔を見て、きょうばっかりはさすがにキレそうになった。
うるせえのがやって来た。こういう、もやもやしてるときにいちばん見たくないのが、この兄貴の顔なんだよな。
「あー。わけ分かんねー」
ベッドにどさりと倒れると、まるで身体がそのまま吸いこまれていくみたいに感じた。
あんこはあれ以上なにも言わなかった。
ちーくん、本城くんを好きだってこと、黙っててごめんね、と。涙で濡れた顔をぎこちなく笑顔に変えて、そう言っただけだった。
いや、まあ、本城を好きなのは勝手に知っていたし、それはいいんだけど。
でもやっぱり、全然、分かんねえよ。
てっきり本城もあんこを好きだと思っていたのに。
それともそれはオレの思い違いで、実は、好きじゃなかったのかなあ。でも、あの荻野も両想いだろうって言っていたしな。
自慢じゃないが、ガキのころからあんこ以外の女に興味が持てなかったオレは、恋愛経験なんかゼロに等しいわけで。
恋の駆け引きとか、そういう恋愛においての深い事情、まったく分かんねえし。情けねーけど。
好きなら付き合うでいいじゃねえかよ。
いや、それとも。もしかして、なんか、あんのかな。
なんか。本城があんこを振らなければいけなかった、決定的な理由が。
「――千尋ぉ。バイオハザードやろうぜ、千尋、なあ千尋」
突然ドアが開いた。次の瞬間、ぬっと顔をだしたまぬけ顔を見て、きょうばっかりはさすがにキレそうになった。
うるせえのがやって来た。こういう、もやもやしてるときにいちばん見たくないのが、この兄貴の顔なんだよな。



