わらって、すきっていって。



ちーくんとえっちゃんは仲が良い。

ふたりは高2の春にわたしを通して知り合ったんだけど、なんだかウマが合うみたいで、わりと最初から仲が良い。

だから3人で過ごす時間はなにかと多い。放課後は3人でカフェに行ったり、休日はちーくんの家でゲームをしたり、テスト前は遅くまでファミレスで勉強したり。なんだかヘンテコな組み合わせだけど、実は全然そんなことないんだ。

ただ、きょうは……ちょっとおかしい。


「本城、メロンソーダひとくちちょーだい」

「おー」


……さて。いったいどうしてわたしの目の前に本城くんが座っているのでしょう?


「えっちゃん……場所代わってください……」

「なんでよ。代わるなら霧島とでしょ」

「そんなことしたら本城くんと隣になっちゃうじゃん!」


委員会のあと、えっちゃんから『ドーナツ100円だから食べに行こ!』と連絡がきた。そしたらちーくんも行きたいと言いだして。そこまではたしかにいつも通りの流れだった。

でも、彼の台詞は、そのまま「本城も行こうぜ」と続いた。

本城くんは部活だろうなあと思っていたけれど、きょうは委員会だから部活はお休みらしい。


ちーくんだけじゃなく、本城くんまで引き連れて校門に現れたわたしに、えっちゃんは心底驚いた顔をしていた。

そりゃそうだ。わたしがいちばんびっくりしている。