わらって、すきっていって。


それにしても変な感じだ。憧れだった本城くんと、毎日顔を合わせているちーくんが、こうして目の前で話しているなんて。


ただ、やっぱりどうしても、見てしまう。本城くんのこと。

笑うときに右の人差指で鼻の頭を触る癖があるとか、人の話を聞くときは少し首をかしげちゃうとか。

この短時間で本城くんについていろいろなことを知れて、もうパンクしちゃいそうだ。


「なーんかあんこ、無口だなー」

「そ、そうかな!?」

「そーだよ。いつもは元気にぺちゃくちゃしゃべってんじゃん。なにかわいこぶってんだ?」

「か、か、かわいこぶってなんかないよ!!」


ちーくんのバカ。本城くんの前でなんてこと言うの!


「もう、委員会始まるよ! ちーくん6組でしょ! あっち!!」

「へいへーい。鬼の形相すんなよー。こえーじゃん」

「そんなのしてない!!」


真っ赤になって怒るわたしとは裏腹に、ちーくんはいたずらっ子みたいに笑うと、そのまま自分の席についてしまった。あの顔、幼稚園のころからちっとも変わっていない。

本城くんの顔は見れない。だって、鬼の形相ってなかなかひどいよ。心のなかで鈍感バカなんて思ってしまったことへの復讐か。


「……ぷっ。ほんと、霧島と仲良いんだな」

「ちっ……がくはないけど、鬼ってあんまりだよ……。デリカシーなさすぎ……」

「いいじゃん、そっちのほうが張り合いあってさ。きっとああいうのが傍にいるほうが楽しいよ」


それは、まあ、そうかもしれないけど。本城くんがそう言うなら。

「な」と、首をかしげて笑った本城くんはやっぱりまぶしくて、とっさに首を縦に動かした。

うつむいたのかうなずいたのか、自分でもよく分からない。