わらって、すきっていって。



うちの学校の文化祭は2日間あって、3年3組のシンデレラは、2日目の午後イチの公演だった。

特にトラブルもなく終了。それどころか大成功で、30分間のステージはあっという間に感じた。


お疲れさま、ありがとう、最高だった。

そんな言葉を交わしたり、聞いたりしながら、ああ最後の文化祭が終わったんだなあって。そう思うと、どうしようもさみしくて、切ない。

卒業したくないなって、なんとなく、はじめて思った。



「――グランプリは逃したけど。『演劇賞』ありがとうございましたあ!!」


後夜祭前。先生が差し入れてくれたオレンジジュースとお菓子で乾杯をした。音頭を取ってくれているのは、やっぱりきょうも守田くんだ。

教室には、みんなの着ていた衣装とか、誰のものかも分からないぼろぼろの台本とか、ほかにもいろいろ私物とか、ごちゃっと散乱していて。

お祝い兼、打ち上げ兼、片付けみたいな時間を、どうしようもなく愛おしく思った。だって、これからの人生、こんな時間を過ごすことなんてもうきっとないんだろうなって思うから。


「あんこっ。そろそろ後夜祭始まるし、グラウンド行こーよ。霧島も待ってるって」

「あ、うん! ちょっと待って、ここのダンボールだけ解体するから……よいしょ」


えっちゃんがわたしの手から紙コップを取り上げて、ゴミ袋に捨ててくれる。こういうさりげないことができるあたり、えっちゃんは王子様だなあと思う。

そういえば、ちーくんは、後夜祭でえっちゃんに告白しなくていいのかな。

ここはわたしが気を利かせるべきなんだろうか。でもわたし、そんな器用でカッコイイことなんて、たぶんできっこないしなあ。


「ごめん、おまたせっ。行こー!」


教室を出るとき、視界の端っこで、本城くんの姿をつかまえた。

結局、話せなかったな、文化祭。もう話せないのかな。話せないまま卒業して、もう二度と、会わないのかな。

それはなんだか、ちょっと嫌だなあ。