振られるんだろうなって。どうあがいてもきっとダメなんだろうなって、思う。
たとえば後夜祭のとき、誰もいない教室で告白したところで。ジンクスなんてしょせん気休めだってこと、もう分かる。
だって、本城くんがわたしなんかを好きでいてくれるわけがないし。……それにもう、美夜ちゃんにあんな話を聞いてしまったあとだから。
「……告白は、たぶん、しないよ」
言いながら、指に付着したプリッツのパウダーをぺろりと舐める。美味しいな。なにが入ってるんだろ。
「それは、後夜祭で、ってこと? それともずっとしないつもり?」
「ずっとしない。いいの。本城くんのこと、見てるだけでじゅうぶんだなって、やっぱり思ったから」
こないだ美夜ちゃんが言っていたことは、本当かもしれないし、嘘かもしれない。
花火の日、本城くんは美夜ちゃんと付き合っていないと言ったけど、あれはもしかしたら嘘だったのかもしれない。でも、ちゃんと本当かもしれない。
真実なんて分からないままでいい。もうなにも考えたくない。
分からないままで、気付いたらこの気持ちがなくなってくれていたらな。そんな都合のいい奇跡が起こってくれたら、こんなにいいことはないのに。
「……あんこはそれでいいの?」
小さくうなずいた。それを見て、えっちゃんが短く息を吐いた。
「あ、そ。……あんこがそう言うなら、あたしはこれ以上なにも言えないわ」
えっちゃんの口調は少し怒っているみたいだった。無理もないと思う。だって、えっちゃんはずっと、わたしの片想いをすごく応援してくれていたもんね。
いろんなこと相談に乗ってもらったし、協力だってたくさんしてもらった。
それなのに、ちょっと薄情かなあ。
でもね、えっちゃん。わたし、振られるの、こわいんだ。
好きなひとに、好きじゃないって言われるの、こわくて仕方ないんだ。



