わらって、すきっていって。



気持ちの整理なんて全然つかないのに、無情にもやってきてしまった、文化祭当日。みんな浮足立っているなか、わたしだけなんだか心におもりがぶら下がっているみたい。

本城くんには、なにも訊けていないし、なにも言わないままだ。

だって、美夜ちゃんの言っていたことは全部本当だって。もし彼の口からそう聞いてしまったら、わたしはその場で死んでしまうかもしれないよ。



「――あんこは告白しないの?」


がくんと、なにもない場所でつまづいてしまった。えっちゃんが突然変なことを言うから。


「こ、こ、こく……!?」

「なにすっとぼけてんのー。あんこだって知らないわけじゃないでしょ、後夜祭のジンクス」


そりゃあもちろん知っていますとも。後夜祭の時間、誰もいない教室で告白すると成功するっていう、ベタなアレだ。

ていうか、この学校の女子なら知らないひとはまずいないと思う。


「ここらで言っといたら?」

「ええ……なんで」

「だって最後の文化祭だよ。それに、あんこはこういうきっかけがないといつまでたっても言わないでしょう」

「そ、そんなこと!」


ないし。

と、言いたかった。でも、きっとそうだろうなあと思ったので、素直に口をつぐんだ。


「卒業まであと半年なんだしさあ、付き合うにしても振られるにしても、ちょうどいいんじゃないの?」


そんなバカな。振られるのにちょうどいい時期なんてあるもんか。

ぽりぽりとプリッツをかじるえっちゃんをぎろりとにらむと、彼女は横目でこっちを見て、「ほい」と一本くれた。違う、そうじゃない。