わらって、すきっていって。


「だからお化粧もすっごく小さいころから手を出してさ、髪も小学生のころから染めたりして。なつかしいなー」


よくいるよねー、こういうマセガキ。

そう言いながら笑って、美夜ちゃんはまた大きな口でカルボナーラを頬張った。

お皿からはものすごい勢いでパスタが消えていく。まるで手品を見ているみたいだ。


「でも美夜ちゃん、かわいいしスタイルもいいから、小さいころからモデルさんみたいだったんだろうな」

「まあねー。でも歩けなくなっちゃったからさー、美夜」


もしかしたら地雷を踏み抜いたのかもしれない。

はっとして顔を上げた、その先の、彼女の目を見てそう思った。

ううん。もしかしなくても、いまわたし、完全に余計なことを言った。美夜ちゃんは困ったように笑っていたけれど、わたしは笑えなかった。


「……あ、えっと」

「あはは、ごめんごめん。実はそうなんだよ、美夜が歩けなくなったのって、後天的なものなんだよねえ。ちょっと事故に遭っちゃって、それで」

「そう、なんだ……」


車椅子で生活するのって、どんな感じなんだろう。どれだけ大変なことなんだろう。

立てなくなるって。きのうまで動いていた足が、突然動かなくなるって、いったいどういう感じ?

想像もつかない。でもたぶん、わたしの考えなんか追いつかないほどの絶望なんだろうってことくらいは、わたしにだって分かる。

でも、分かるのに、全然分からないよ。


「もー。そんな顔するのやめてよ、小町ちゃん!」


だって、美夜ちゃんがなんでもない顔で笑うから。

夢をあきらめなければならないのはきっとすごく悲しいことなのに、夢すら持っていないわたしには、どうしていまそんなふうに笑えるのか、分からない。