美しい夜。と書いて、みよ、と読ませるらしい。
かわいいけれどかわいいだけじゃない、ちょっと強気な彼女にぴったりだと思った。
美夜ちゃん。ぱっちりしたアーモンド形の瞳によく似合う、素敵な名前だ。
そんな美夜ちゃんは、よくしゃべるし、よく笑うし。そして、とてもよく食べる子だった。
「えー? 小町ちゃんそれだけで足りる?」
「い、いやあ……たぶんこれくらいが普通なんじゃないかと……」
思う、んだけど。
本気で不思議そうな顔で首をかしげる美夜ちゃんの前には、アップルシナモンのパンケーキと、それからカルボナーラ、おまけにオニオンスープが並んでいて。小さめの丸いテーブルは、ほとんど彼女の分の料理で埋められている。
いったいこの量が、その細い身体のどこに入るのだろう。
そういえば本城くんも細いのによく食べるひとだったっけ。本城くんと美夜ちゃん、ふたりで食事をしたらすごいことになりそうだ。
「小町ちゃん、そんなだから細いんだよー」
「いやいや、絶対に美夜ちゃんのほうが細い! 明らかに細いです!」
「そんなことナイナイ。脱ぐとちょーだらしないお腹だから、美夜! あはは!」
そんなことあるものか。そんなに制服の生地を余らせておきながら。
美夜ちゃんは座っていても分かるほど、すらりと手足が細くて、長くて、おまけに顔も小さくて。顔に付属するパーツのひとつひとつもため息がでるほど整っているんだから、神様って不公平だなあ。
「あー、でもね。こう見えて美夜、小さいころはモデルになるのが夢だったんだー」
カルボナーラを一口食べた彼女が、口元にクリームソースを付けたままそう言った。



