「文化祭準備、これにて終了です! みんなのおかげで予定よりも前倒しでできましたー! あとは来週の文化祭をおもいっきり楽しむだけ!!」
うおお、と。男子が大げさに喜んで、女子たちもそれにつられて拍手をする。
約1か月。長いようであっという間だった文化祭の準備が、どうやらここでひと段落ついたらしい。
うれしいような、さみしいような。大道具組はこの1か月間でとても仲良くなったと思う。放課後になれば当たり前みたいに話せていたのもこれで終わるけれど、これからも仲良くできたらいいなあ。
「ちょっと早いけど、きょうはお疲れってことで、3の3はもう解散しましょーか。残りたいやつは残るって感じでー」
守田くんがそう言うと、徐々にそれぞれ帰り支度を始める。大道具組のみんなと「お疲れさま」を言いあったあとで、わたしも鞄を持って、えっちゃんのところへ向かった。
「えっちゃん! お疲れさま。どうする? 帰る?」
「あー……ごめん! あたしらちょっと残って練習してくことになりそうだわ」
あたしら、とは、たぶん俳優組のことだと思う。
そっか。そうだよね。衣装や道具は完成したら終わりだけど、舞台に立つひとたちは本番まで準備しなくちゃいけないか。
分かったよー、と答えると、えっちゃんは申し訳なさそうに笑った。
「6組寄って、霧島のこと引きずって帰りな!」
「ええ……6組もいま準備中だと思うんだけどなあ」
「霧島なんかいなくても大丈夫に決まってる」
本当にちーくんに対する風当たりが強いんだから。ちーくんはたぶん、えっちゃんのことが好きなのに。



