昔からお父さんは、 小さな会社の社長として頑張っていたから あたしと話すことなんてなかった。 たまに話せるのは夜で、 お父さんが早帰りの時はすごく嬉しかった。 つまり、あたしはお父さんっ子。 そんなお父さんが久しぶりに 早帰りだと思ったら婚姻届が前に置いてある。 「取引先の息子さんだ」 「…」 「明日、会う約束をしている」 「…」 「会ってくれないか?」