携帯で時間を確かめると、20時を回ろうとしていた。
10月も後半になると、
東京とは言え、夜は大分冷え込んで来る。
24時間空調のマンションだけど、
さすがに大理石の上にずっと立っていると
足が少しずつ冷えて行くのが分かる。
私は通路を行ったり来たりしながら、
体温を保つために軽い運動を施していた。
………ダメ。
身体は温まるけど、お腹が空く。
こんな事ならしっかりと食べて来るんだったな。
いつ戻るのかも解らないんだもん。
長期戦なら体力温存だよね?
私は通気口から漏れる微風を遮る為に
そこへスーツケースを楯にして置き、
玄関横の壁に寄り添う形で座り込んだ。
ロングカーディガンを身体に巻きつけるようにして。
そして、両手をギュッと合わせた。
彼との再開シーンを思い描きながら
寒さと空腹を紛らわせていた。