翌日、私は1人でふらりと出掛けた。
家に籠っても可笑しな事ばかり考えてしまうから
久しぶりにのんびりと散歩に出掛けた。
京夜様のお母様に戴いた服を着て、
ポカポカの陽気の中、公園を目指した。
平日の公園は小さい子供が沢山いて、
その傍らでママさん方が楽しそうにおしゃべりをしている。
私は少し離れたベンチに腰掛け、
秋の木漏れ日を浴びながら、
流れゆく雲をじっと眺めていた。
京夜様とこんな風に空を眺めたよね。
幼い時の彼も、大人になった彼も
横顔は変わらず綺麗なままで………。
また、あの綺麗な横顔が見たいと思ったら罪なのかな?
『松波』でいいから、
またあのテールボイスが聞きたいな。
たった1週間しか経ってないのに懐かしく感じる。
きっと、こんな風に思い返しているのも
私だけなんだろうけどね………。
少し肌寒く感じて、
そろそろ自宅に戻ろうとした、その時。
ヒューッと強い風が一瞬だけ横切り、
横髪がパサッと靡いて乱れてしまった。
手櫛で直しながらふと甦る記憶。
『自分でしたのか?』『似合ってるよ』
―――――優しく微笑む彼。
今、無性に胸が切なく疼いた。



