「私には心がありません。以前はありましたが、その心はある人に捧げました。なので、貴女と結婚したとしても愛する事は生涯ありません」
「…………今は無くても………一緒に生活したら変わる可能性は?」
「無いです」
「即答なのですね」
「すみません。夫としての甲斐性は無いと思います。ですが、貴女を『女性』として見る事はなくても、『母』として接する事は出来ると思います」
「………どういう事ですか?」
「身勝手な話かもしれませんが、自分は1人息子なので跡取りが必要なんです」
「………そういう事ですか」
苦笑する彼女。
溜息混じりに手にしているハンカチをギュッと握りしめた。
「今は医学も進んでいます」
「………と言いますと?」
「お互いに想い合っていなくても子供は授かる事が出来るという事です」
「ッ?!…………それって、妻を蔑にするという事ですか?」
「………………取り方によってはそうとも取れると思います」
「……最低ですね」
「十分承知してます」
「愛が無い両親の許で子供は倖せになると思いますか?」
「…………どうでしょう。子供には愛情が湧くかもしれませんし……」
「ホント、最低な人ですね」
「………返す言葉もありません」



