彼女の名前は天宮凪彩(あまみやなぎさ)
大学を出たばかりの22歳だそうだ。
見るからに箱入り娘な感じがする。
艶やかな赤い振袖を纏い、
その和服姿も着慣れている感じがする。
根っからのお嬢様育ちといったところか。
天宮と言えば、確か先祖が公家だった筈。
由緒ある家柄なのか、
彼女は黙っていても華があるように見える。
20分程、親同士が話を進め
俺と彼女は内庭を散策する事になった。
………完全に見合いの王道とでもいう雰囲気だ。
和服姿の彼女に合わせ、ゆっくりと歩いて
庭園の端にある四阿で休憩する事にした。
秋晴れの日本庭園の四阿での初顔合わせ。
何から話せばいいのかサッパリ解らない。
相変わらず、話術は営業仕様しか持ち合わせていないらしい。
「あ、あの……」
「ッ?!………はい」
痺れを切らしたのか、彼女の方から声を掛けて来た。
その声は、色目を使う声色とは違った。
俺に声を掛けて来る女どもは皆、声色を変えるのに
彼女は俯き加減でどことなく怯えているようなそんな声音だった。



