「んッ!!美味しい!!先程のより甘酸っぱくて…」


あまりの美味しさに顔が綻ぶ。


ふと、彼に視線を向けると柔らかい表情で…。



「当たり前だ。レモンでなくカシスを入れたんだから」

「おかわり!!」

「はっ?!ってお前、カクテルは水じゃねぇぞ?!」

「へへへッ……美味しすぎて、つい…」

「お前はザルか?」



あまりの美味しさについつい悪ノリを。

ヤバい……今のはやり過ぎた。


化けの皮が剥がれる前に気を落ち着かせないと。


ソファの上に膝を抱える格好で、

隣りでカクテルを口にする彼を見据える。



すると―――――、


「……飲みたいか?」

「へ?」

「酒」

「はい!!」

「チッ、ったく…」


彼は文句を言いながらも、

ちゃんと美味しいカクテルを作ってくれた。


彼の本当の姿を垣間見た気がして、

ほんの少し高揚感を覚え始めた。