「『お姫様になれる』と言われたら………なりたいの?」
「へっ?………それって、どういう意味?」
お姫様になれる?
それって、京夜様の妻になるって事?
………ありえない!!
そりゃあ、玉の輿に乗って
優雅なセレブマダムになるのは美味しいかもしれないけど
………私には絶対向いてない。
今みたいに、使用人としてお世話をするのはアリだけど
世界の『御影』の嫁の座に……私が??
………無理、ムリ、むりに決まってんじゃん!!
「あっ、いや、お母さん。それはありえない話だから」
「どうして?」
「どうしてって、私みたいなオトコオンナを、あの京夜様が受け入れるとは思えないし、そもそも私の事を『女』として見てないから」
「えっ?」
「言葉は乱暴だし、眼光は鋭いし、それに……」
「………それに?」
「彼は、今でも忘れられない人がいるみたい」
どんな人かは知らないけど、時折、思い詰めた表情をする。
カフェで見かけたあの美人さんかと思ったけど、違うのかしら?
……大倉いづみさんでも無かったみたいだし。



