「希和さんがこれまで京夜の為に生きて来たように、これからは希和さんの為に生きて行かないと……」
「っんな事は言われなくても解ってるってッ!!」
「…………そう」
母親は、それ以上何を言うでもなく、
ただただ安堵している感じだった。
自宅へ戻った俺は………。
「……チッ、意外と難しいもんだな」
独り言を呟きながら四苦八苦している。
ふと時計に視線を向けると、17時を回ろうとしていた。
「ったく、一体何時間かけりゃあ出来上がるんだよ!」
弱音と共にため息が零れ出す始末。
すると、
♬ ♩ ♪ ♫ ♪ ~
「チッ、帰って来たか……」
玄関ドアの解除音が聴こえて来た。
結局、俺はあの子の為に何も出来やしない。
溜息混じりに視線を移すと、
「只今戻りました~………えっ?………き、京夜様、どうされたのですか?」
「………ん?」
白々しく呆けてはみたが、状況は明らかだよな。
「………も、もしかして…………」



