「お料理は勿論の事、家事全般に至る妻業務と、京夜の趣味の……」
「バイク?!」
「そう」
「………」
俺は言葉を失った。
だってだって、それって……。
今のあの子は、全て俺の為に生きて来た事になる。
遊びたい盛りの年を稽古で明け暮れ、
きっと遣りたい事を我慢してまでこれまで生きて来た。
全ては………俺の為に。
俺は、一体何をしていた?
遊び呆けてはいないが、それなりに遊んで来たし、
バイクも酒も………好きな事を好きなだけして来た。
………ッ!!
胸が締め付けられる。
あの子が必死に頑張って来たのに、
俺はあの子に言いたい事を言って、
そして、奴隷のように扱き使っていた。
………後悔しても遅いが、マジで悔やみきれない。
これから、俺は一体どうしたらいいんだ?
あの子に償う事が出来るだろうか?
グッと拳を作り、奥歯を噛みしめていると
「京夜」
「………ん?」
柔和な表情で俺の拳をそっと包み込む母親。
その瞳は真っ直ぐに俺を見据えていた。



