「これは、亡くなった祖母の形見です」
「は?」
「手先の器用な祖母が、亡くなる前に作ってくれた想い出の品なんです」
「………」
信じがたい話に放心状態の俺だが、
目の前の松波は至って真剣な表情をしている。
……嘘を吐いている風には見えない。
「このヘアピンは私が無くしてしまったもので、何故かは解りませんが、大倉様が持っていた事になります」
「………」
松波は淡々と言葉を紡ぎ、至極冷静でいる。
先程まであんなにも狼狽していたというのに……。
「………何故、これが……お前のだと言い切れるんだ?」
「え?……それは、ここに私の名前が」
そう言って、松波は俺の手元からヘアピンを取り
指先で先程の文字を指差した。
「ここに………『キワ』って刻まれていますから」
「へ?」
キワ?
キワって、松波の名前だよな?
俺は今一度その文字を確認した。
「ッ?!………へ?」



