もう一度最初から説明した方がいいのか、
もしくは、『あの子』の存在を話した方がいいのか。
俺をじっと見つめるコイツに掛ける言葉を探していると。
「………京夜様」
「ん?」
「京夜様は私の事をご存知なのですか?」
「は?」
またまた意味不明な発言をする松波。
ここまで来ると、笑いしか出て来ない。
人間って、『壊れる』なんてよく言うが、
本当に壊れた状況って、こういう事なのかもな。
俺は込み上げて来る笑いをグッと堪え、
「俺の護衛兼秘書をしている」
「他には?」
「そうだな、武術が出来て、料理上手だ」
「ッ!!………ほ、他には……?」
「そうだな……」
俺の言葉に照れる所を見ると、
やはり、あの女への嫉妬心で気が狂っているようだ。
俺は子供をあやすような感じで言葉を続けた。
「俺の両親とお前の両輪は昔からの友人で」
「………」
「俺の身の回りの世話をさせる為にヘッドハンティングをしたよな?」
「………それから?」
「そうだな……」
松波は俺から何を聞きたいのだろうか?
やっぱり、好きな男からの甘い言葉か?
そんなもの、俺の辞書には存在しないぞ?



