「…………の………です」
「ん?………今、何て?」
松波は何か言ったがあまりに小声だった為、聞き取れなかった。
俯き加減の奴に今一度問う。
「今、何て言ったんだ?」
「……………これ」
「………ん」
「………………私の……です」
「………………………ん?え、今、何て言った?」
「…………だから………」
「ん」
「これ」
「ん」
「……………私のです」
「……………………は?」
漸く口を開いたかと思えば、これまた意味不明な事を。
『私の』って、何を根拠に?
松波の言ってる事が全く理解出来ず、
俺は腕組みをしていた手を解き、頭を掻き乱した。
何をどうしたらそうなる。
俺をおちょくってんのか?
じゃなきゃ、コイツの妄想が暴走してんのか?
あの女に対しての嫉妬以外何物でもない。
コイツの頭の中ではこれは俺のモノになっていて、
俺があの女にくれたと勘違いし、
あの女が要らないと言ったから、
それなら、自分が貰うというのか?
おいおい、今までそんな素振りは見せなかっただろ。
この状況下でよくそんな事が言えたもんだ。
俺は盛大な溜息を零した。



