食事中も終始彼に付き纏う彼女。
『料亭』というだけあって、それぞれの目の前に
色鮮やかな旬の食材が見事なまでに飾られているというのに
空気も読まず、一箸付けては彼へ運び、
また一箸付けては彼へ運ぶ彼女。
そんな彼女の行動をあまりよく思っていないみたい。
2人の正面に位置する私からは、
京夜様の表情が良く見て取れる。
だって、彼は御影の御曹司。
人が箸を付けた物を口に運ぶ事を許さない人。
私が毎日テキストとして活用しているファイル帳にそう記してあった。
『他人が箸を付けた物は決して食さない』
だから、彼はさり気なく手で拒んでいるように見える。
まぁ、『恋は盲目』というだけあって、
彼女の方は全然気づいていないみたいだけど……。
3人とも、そろそろ限界のようだ。
中々イチャイチャラブラブな雰囲気にならず、業を煮やす彼女。
そんな彼女が鬱陶しいのか、顔が引き攣り始めた京夜様。
そんな2人を見てても、折角のお料理がちっとも美味しくない!!
「そろそろ出るか」
淀んだ空気を一層したのは、やはり彼だった。



