「ご苦労様」
そう言って車を降りた彼女。
……ご苦労?
それって、目上の人が目下の者に労いの言葉で言う台詞よね?
私は御影京夜に雇われているのであって、
決して、大倉いづみという人物に雇われているのではない。
京夜様が言ったのならまだしも、
何故、このタイミングで言う事がある?
それって、彼の彼女なら私も支配下って事?!
あぁ~腹が立つ!!
何が楽しくってここまで我慢しなきゃならない訳?
無意識にため息を吐きながらドアを閉め、
料亭の暖簾をくぐる2人を見届けていると、
「おいっ!!」
「?!………はい!!何でしょうか?」
左手で暖簾を掻き上げた京夜様が声を掛けて来た。
あっ、もしかして、帰りの時間とかかな?
仕方なく駆け寄ると、
「帰るつもりじゃないだろうな?」
「へ?」
「お前も一緒に食うんだよ」
「………はい?」
意味不明な発言をする俺様男。
『デート』の意味が解ってらっしゃないのでは?
返答に困り、言葉を探していると……。



