シートベルトを締めた私は、
一旦、ルームミラー越しに後部座席を確認してから
ゆっくりと滑らかに車を発進させた。
敷地内から大通りへ出ると、
「風月へ頼む」
「………承知しました」
耐え切れない程の空気の悪さ。
たった一言告げた以外は終始無言。
信号待ちで停車した折に再びルームミラーに視線を移すと、
京夜様の肩に凭れ掛かる彼女の姿が目に入った。
京夜様はというと、
それを払いのける事もせず、
ただじっと窓の外を眺めているだけ。
ラブラブかと思いきや、そんな事は無いみたい。
まぁ、元々『女』嫌いな彼なんだから
そう簡単に優しく出来るとも思えない。
だって、私が『女』だと解っても
何一つ変わっていないのだから……。
あまり普段と変わらない彼の様子に
ほんの少しだけホッとした私が居た。
15分程車を走らせ、
目的地の料亭『風月』に到着。
腹立たしいけど、1万歩譲って後部座席のドアを開けた。
すると、



